蕎麦打ちの過程は大きく「水回し」「のし」「切り」の3つに分けられます。
蕎麦打ちと言いますと「切り」がクローズアップされることが多く、一番大切な部分だと思われがちなのですがそうではないはずです。
なぜなら、良く伸されたそばでないときれいに切れないからです。厚さにむらがあったり、表面にべたつきがあったり、傷が多いものは、包丁で切っても出来上がりがいまいちです。
上手く伸すためには、必要量の水がそば粉に均一に混ざっている玉を作る必要があるので、結局「水回し」が一番大切だと言えるでしょう。
いい玉は上手く伸せ、うまく伸せた生地は上手く切れるということでしょう。
実際、満足いく水回しができたときは、それだけでよい蕎麦が打てた気持ちになります。
蕎麦打ちの技術は愛好家の皆さんもとても高いレベルですので、特に説明することもありませんが、毎日蕎麦打ちをしている者が気づいたコツを少しだけ申し上げます。
水回し
必要と思われる水の約80パーセントを水回しの始めに入れることが大切です。
粉同士が集まり始めないうちにそれぞれのそば粉の粒が水に触れる機会を与えてやるといいでしょう。
のし
とにかく厚さを均一にすることです。四角く伸せれば無駄も少なくきれいですが、そのために厚さが不均一になってしまっては本末転倒です。
均一に伸せれば同じ太さに切れます。
切り
ゆっくり丁寧に切ることです。蕎麦打ち名人がリズミカルに素早く切る映像をご覧になった方も多いでしょうが、蕎麦打ちの目的は格好良く打つことではなくておいしい蕎麦を作ることです。名人が素晴らしい速度で切るのは、早く切る練習を積み重ねたからではなく、蕎麦を打ち続けた結果なのです。
早くなくてもいいので丁寧に同じ太さに切ってください。
茹で
大量のお湯でしっかり茹でる事です。そば粉は小麦粉よりもずっと早く火が通るので、つなぎが少ないほど早く煮えますが、当店の外一(太さ1.4mm)は茹で時間約1分15秒、十割は1分です。
最近は短い時間での茹でが流行っていますが、数十秒でそばは煮えません。