そばを育てる

「平安の世からこの地を耕し続ける人々の営みが消えてしまうのは寂しい」

この地域やそこに住む人々に惹かれる者たちが仲間と共に全て手作業でそばを育て収穫した記録です

土づくり

畑の土をふかふかにする土壌菌のエサとして、日頃から畑に植物由来の有機物を入れることを心がけていますが、作物を育て、収穫するには肥料が必要です

この地方のソバが長い間自然の肥料で育てられてきたことから、有機肥料の方が常陸秋そばが持つ本来の味と香りを引き立てられると考え、今回は「発酵けいふん」を選び、種まきの2週間ほど前に畑全体にすき込みました

種まき

8月10日(1日目) 驚くような急斜面に位置する畑。トラクター等は入れないので作業はすべて人力です。まずは畑をならします

50cmの等間隔で筋をつけ、そばの種を蒔き、足で埋めます。お盆前、猛烈に暑いです

8月18日(9日目) 一週間もするときれいにそばの芽が生え揃います

種を蒔いた後はひと雨欲しい所ですが、雨が続くとそばの芽が腐り、溶けてしまいます

でも急斜面にあるこの畑は作業こそ大変ですが、水はけが良いので水たまりもできず安心です

中耕作業

8月25日(16日目) そばがまだ小さいうちに、畝間の除草を目的とする中耕(ちゅうこう)を兼ねた陪土(ばいど:土寄せ)を行い、苗の発根を促します

そばが生えた列の間の土の固い表面を雑草と共に削ることで、除草ができ、土中に水が沁み込みやすくなり、土の通気性もよくなります。また、削った土をそばの根元に寄せると、土に触れた部分の茎から新たに根が生え、そばの養分、水分の吸収力が上がり、風雨にも強くなります

9月6日(28日目) そばは順調に成長し、花をつけ始めます

9月13日(35日目) そばの背丈が伸び、花もだいぶ増えてきました

9月28日(50日目)花盛り真っ只中。花の香りが虫を呼び、受粉を促進させます

10月4日(56日目) 黒い実が目立ち始めました

10月19日(71日目) ソバの成長の早さには本当に驚かされます。まさに刈り時です

そば刈り

10月20日(72日目) 朝早くからそばを刈り始めます

そばの株を高めで刈り、その上に刈ったものを寝かせて干す「平干し」がこの地域では昔から行われています

一週間ほどこのまま干していよいよ脱穀です

脱穀

10月26日(78日目) ビニールシートの上にビールの空き箱を逆さに置き、そこに干したそばを叩きつけて実を落とします

脱穀前と脱穀後

秋空の下での農作業

棚谷の晩秋は山が夕日で燃えます

真夏の種まきから、時間を作っては助太刀に来てくれる大切な仲間

夜なべで脱穀作業(叩き)をするしんちゃん

叩いた実をまた一週間ほど干します

11月2日(85日目) 唐箕を使い、そばの実に混ざる塵やアイ(しいな:未成熟な実)を取り除きます

唐箕作業前と後

石を抜いて磨けばピカピカです

そばの茎は燃やして畑に還します

共同作業に参加してくださった方々大変お疲れ様です。ありがとうございました。また来年よろしくお願いいたします。

・ラテンアメリカを中心に活躍するフォトジャーナリストのDさん

・フィリピンの子供たちに寄り添うライターのKさん

・黄色いジャンプマンしんちゃん

・薪釜を積んだPIATTAFORMA号でピザとワインを提供するKさん

・タンゴを弾くピアニストのMさん

・ガムラン奏者のKさん

・水戸の銀杏坂で素敵なカフェを営むYさん夫妻

・茨城高専の学生さんたち

・茨城大学の学生さんたち

・いつも適切なアドバイスをくださったご近所のAさん

・そばの成長をいつも気にしてくださっていた赤土の親方夫妻

・畑を提供してくださっているIさん

・私たちを優しく見守ってくださる、家主Iさんの弟さん、妹さんおよび娘さん、息子さんたち

・そば作りを応援してくれる国内外に住む友人たち

まだまだたくさんお世話になった方はいらっしゃいます。お陰様で辛い作業も楽しく行なえ、100Kg以上の玄そばが収穫できました。重ねてお礼を申し上げます。

にのまえ店主 眞家一

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